ソーラーフロンティアの生産拠点集約の功罪

 太陽光パネルメーカー大手の「ソーラーフロンティア」が、2017年にメインのパネルの生産を国富工場に集約しました。それまで稼働していた宮崎工場、そして昨年本格的に稼働したばかりの東北工場の生産を中止したのです。


 その背景にあったのがアメリカです。アメリカは2016年から結晶系パネルの価格競争が一気に過熱し、価格が急落、いくつかのパネルメーカーは破産を余儀なくされました。


こんにちは、天意です。

 太陽光パネル業界で国内メーカーが逆境に立たされています。ソーラーフロンティアは、産業用では国内メーカー最後の雄としてここまで市場を牽引してきましたが、とうとう大きく舵を切り始めました。 本日はその経緯と今後の方策をお伝えしようと思います。




生産拠点を国富へ集約


 ソーラーフロンティアは以前からアメリカに進出しており、アメリカの状況には他社よりも詳しかったですが、ここまでの激変は予想できなかったのです。


 もともと生産品の4割をアメリカへと輸出していたため、アメリカはいわば大口の顧客というべき存在でした。結果的に、ソーラーフロンティアは生産のほとんどを輸出から国内販売へと切り替えるしか、すべはありませんでした。


 2016年第4四半期には、国富工場の生産を7割に抑えてしのごうとしましたが、結局大打撃となり、12月の決算は前期比で22%の減収227億円もの赤字を計上しました。


 以降、現在まで国内販売にシフトし、赤字幅は減少していますが、17年には3期連続で赤字となり、最終的に生産拠点を国富への集約を決定し、そのほかの工場で早期希望退職者を募りました。


頭をかかえる男性に雷




コストの見直してチャンスへつなげる


 工場の集約は生産の縮小や工員のリストラなど、悪い面が目立ちますが、見方を変えればコストの見直しになり、収益力向上が見込める策でもあります。


  例えば東北工場で作られていたのは3x4の低電圧、宮崎では2x4を生産してきましたが、これらは当然国富でも生産されるようになります。


 また、宮崎工場は80MWと小規模なうえに、施設の老朽化が課題だったため、すべてを国富に集約することで、そもそもの製造原価が抑えられるうえに、コスト構造を見直して競争力を高める一つのチャンスとしても考えられます。




東北工場は開発拠点として復活


 最初に書きました通り、東北工場は16年から本格的に生産をスタートさせたばかりの工場でした。東北工場の主な目的は、将来の海外生産展開を目指すうえでのモデル工場となる事でした。


 出力も180Wを超える高出力パネルの生産に注力しており、これから本格生産をというところで、アメリカの突然の事態により、方向を修正したのです。以降は3x4の低電圧を限定的に生産していましたが、実は東北工場で取り組んでいた、出力向上技術は無駄にはなりませんでした。


 国富にて、これまで東北で生産していた3x4の180wはすでに生産可能になり、18年からは190wのパネルの生産、販売も十分可能という判断になりました。さらに、東北工場は、19年をめどに新製品の開発拠点として、再び復活させることを明言しました。


 しかし、現段階では依然として厳しいままです。生産部門の人員が余っていることは確かで、早期希望退職者の募集や、国内販売の拡充により生産から営業への転換を命じられる社員も大勢いました。


 東北工場から20人が国富工場へ、宮崎工場からは50人国富工場や営業へと回されました。ですが18年、19年以降、東北工場で開発が進められる新製品は、軽くて薄く、割れないという頑丈なパネルで、差別化を図った新たな価値を、とソーラーフロンティア平野社長が明言しました。




まとめ


 ソーラーフロンティアは、他のメーカーとは異なる方式(CIS)のパネルで独自性を出し、差別化を図ってきました。影や曇りに強い特性を活かし、近年かなりシェアを伸ばしてきてもいました。しかし、価格競争は激しさを増し、価格の安い中国勢に押される形となってしまいました。


 弊社も最近2年にわたって取り扱いをさせていただいておりましたので、何とかこのピンチを乗り切って、復活を遂げて欲しいと願っています。アメリカのピンチが、チャンスへと変わる一手になってくれれば幸いです。





四国電力でも出力制御が始まった!発電事業者の対応方法は?

四国電力の出力抑制の概要


 四国電力の公式ホームページに、「太陽光事業者さま(低圧10kW以上、新・指定ルール)に対する出力制御機能付PCSへの切替えのご案内」というお知らせが掲載されました。


 「四国エリアにおける再生可能エネルギーの導入量増加に伴う発電事業者への優先給電ルールのお知らせについて」
この度、低圧10kW以上の太陽光事業者さまに対して、ダイレクトメール等により順次手続きのご案内を行うことといたしました。


 事業者さまにおかれましては、当社のご案内をご確認いただき、期日までに所定のお手続きをお願いします。
(低圧10kW未満の事業者さまについては、今回はご案内いたしません)


 ※四国電力ホームページより




    NEWS


  こんにちは、天意です。

 九州電力では、すでに2016年7月に「九州本土における再生可能エネルギーの導入状況と優先給電ルールについて」というプレスリリースを出し、出力抑制の方法等について公表しています。


 また、四国電力管内についても、2016年12月に太陽光発電設備などに対して出力抑制を実施する準備として、「優先給電(出力制御)ルール」について確認するプレスリリースを発表しました。


 ※優先給電ルールのお知らせ


 そして今回、出力制御手続きの受付準備が整い、具体的な手続きの案内が始まったようです。九州電力と同様に、該当する発電事業者様への郵送も開始されるものと思われます。




出力抑制の対象となる発電所は?


 とはいえ、四国電力管内のすべての低圧発電所が対象というわけではありません。対象となる発電所は容量10kW以上50kW未満の太陽光発電設備です。


  • 平成26年12月2日までに四国電力へ接続契約を受付済の場合
    出力制御対象外

  • 平成26年12月3日から平成28年1月22日までに四国電力へ接続契約を受付済の場合
    無補償での出力制御上限→年間360時間
    制御方法→自動制御(出力制御機能付パワコン等)

  • 平成28年1月25日以降に四国電力へ接続契約を受付済の場合
    無補償での出力制御上限→無制限
    制御方法→自動制御(出力制御機能付パワコン等)



    グラフと電卓


PCS(パワコン)ではどのような対応が必要なのか?


 まず大切なことは、出力制御機能付のPCSになっている事です。


 PCSとはパワーコンディショナーシステムの事で、パワコンと呼ばれています。


 設置されているパワコンが出力制御機能付かどうか確認し、もし出力制御機能付パワコンでない場合は、切替の準備を進めることになります。


 また、設置済み/設置予定の機器の仕様を四国電力で確認してもらうための「出力制御機能付PCSの仕様確認依頼書」の提出、機器設置が完了したことを知らせる「完了届」の提出も必要です。



書類等の提出


  • 「出力制御機能付PCSの仕様確認依頼書」の提出→2018年2月末まで

  • 「完了届」の提出→2018年9月末まで
    ※事業計画変更認定申請・事前変更届出を行い、資料の提出が必要な場合があります。



機器(パワコン等)の設置


  • 出力制御対応のパワコン設置→2018年9月末まで

  • 出力制御ユニットの設置→2018年9月末まで

  • インターネット回線契約→2018年9月末まで

  • 「発電所ID」の登録などの設定→2018年9月末まで
    ※発電所IDは、「出力制御機能付PCSの仕様確認依頼書」を提出後、電力会社において内容確認がされた後、発行されます。


  •     違反はダメです


    無視すると、契約解除の可能性も?


     前述の四国電力のホームページに、この出力制御に関するダイレクトメールのサンプルがPDFで掲載されています。
     ※出力制御に関する今後のお手続きについて


     この中に、
    • 今回のご案内は、再エネ特措法により定められた国のルールに基づくものであり、当社系統への連系に先立ち、ご契約者さまにお約束いただいている内容です

    • 電力会社との契約内容や再エネ特措法に関するお問合せは、上記お問合せ先まで、お問合せください。

    • お手続きに応じていただけない場合、太陽光連系に関するご契約が解約となる場合があります

     と、赤字で記載されています。
    「ご契約が解約となる場合」とはっきり明記されていますので、最悪の場合、契約解除の可能性もあるのです。




    出力抑制の今後の展開


     せっかく発電できる施設を作ったのに、なぜ出力抑制しなければならないのでしょうか。低炭素社会の実現、エネルギーのベストミックスはどうなるのでしょうか?


     以前別記事でご紹介したように、VPP(バーチャルパワープラント)も急速に動きをみせていますが、未だ実証実験の段階です。九州、四国と続いた出力抑制の波が、今後どのように展開していくのか、注目したいところです。




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蓄電池よりも経済的!電気自動車「EV」のお得な活用法とは?

 こんにちは、天意です。

 昨今、EV(電気自動車)各種が社会に広がり始めています。この電気で動く自動車であるEVの新たな可能性を紹介していきたいと思います。



 電力改革、期待の星「EV」!

 今世界各国では、太陽光などの自然の力によって生み出される「再生可能エネルギー」の買取事業が広がっています。
この動きにより、日本でも太陽光パネルなどの設置が進められてきました。しかし、住宅用太陽光発電利用者は、余剰売電期間が終われば、売るよりも自家消費を選択する方が経済的という事で、今後自家消費に移行される方が多くなります。

 そのため、家庭内で発電した電力を溜めておく蓄電池のニーズが高まってきています。けれども、固定式の大きな住宅用蓄電池は導入コストが20万と高く、普及は進んでいません。そこで、EVの車載用バッテリーをこの住宅用蓄電池の代わりに使う動きが出てきました。

 EVに搭載されているバッテリーを家庭の蓄電池として使用するためには、70万円ほどでEV用の充電器などを整える必要があります。しかし、「燃費の良い車+蓄電池」が手に入ることを考えれば、将来的な利益は非常に大きいと言えるでしょう。そうなると当然、導入だけで20万の蓄電池よりも日常的に使える車のバッテリーを活用した方が、経済的と見ることができます。

 現在、三菱グループや日産自動車が蓄電池の代用となるシステムを採用した電気自動車を販売しています。これにより、将来的には設備コストも削減され、本格的にEVが住宅用蓄電池にとって代わる日が来るのかもしれません。


    EVスタンド


 電気自動車市場、開花の予兆

 EVが普及する障害となっていた初期費用は、ガソリン車と比べても少し割高という水準にまで下がってきました。そして燃料代はというと、今では「100km走行して、ガソリン車に比べ、EVの方が380円安い」という試算も出ており、益々メリットが大きくなってきました。

 また今後も、量産化による価格の低下が進み、問題であった初期費用も補助金なしで解決できると見通されています。更にもう一つの課題であったEV充電器の設置場所は、14年末は2800ヵ所だったのに対して、現在では約7000ヵ所に達しています。

 補助金を交付する次世代自動車振興センターによれば「高速道路や商業施設、ホテルなどで充電器の導入が進んでいる」との話です。そして何より、三菱自動車、日産自動車に続いて、大手企業「トヨタ自動車」がEV市場に参入したことが、大きな影響を与えています。トヨタ自動車は今年、太陽光発電のパネルが搭載された新型車を発売しており、注目を集めました。


    プリウスPHV


 まとめ

 EV各種の普及に伴い、住宅用蓄電池以上に車のバッテリーの有益性が明らかとなってきました。これにより、市場の主体はガソリン車や太陽光による自家発電からEVへと移り変わっていくことでしょう。

 今後は太陽光発電設備の販売業者が、新しいライフプランの提案として、EVを販売する日が来るかもしれません。これから自宅に太陽光発電設備を設置、または設備搭載の新築住宅を購入しようとしている需要家様は、自動車メーカーや太陽光業者の今後の動向を注視していただければと思います。



 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望
 → 蓄電池・エネファーム等に対する助成金(補助金)制度の概要(東京都)
 → 住宅用蓄電池市場に吹く逆風の正体とは?自家消費を推進するメーカーの動き



 

出力抑制を回避する救世主となるか!?IoTを活用したVPPの動向

 VPP(バーチャルパワープラント)が現実化の動きをみせています。

 こんちには、天意です。

 先日、福岡で予定があったため、北九州市で開催された「エコテクノ2017」に行ってきました。北九州市は、2011年末に「環境未来都市」に選定され、経済協力開発機構(OECD)の「グリーン成長モデル都市」にアジアで初めて選定されており、環境についてのコンベンションを多数誘致していることで知られています。主催者、協賛社には自治体の他、大学や地元企業が名を連ねています。



 基調講演のあらまし|用語のおさらい

 国際的な動向や注目の水素エネルギーなど、興味があるセミナーが多数ありましたが、今回はメインである基調講演に申し込みしました。主催は福岡県、エネルギー先端技術展連絡会議です。セミナーは3部に分かれています。

1部:IoTの現状と展望~新たな産業革命の幕開け~
   講師→株式会社みずほ銀行 産業調査部 参事役 大堀氏
2部:九州におけるバーチャルパワープラント実証事業の展開
   講師→SBエナジー株式会社 VPP事業推進室長 平尾氏
3部:エネルギーIoTを活用したO&M、PPA、VPP等への取組みについて
   講師→株式会社NTTスマイルエナジー 代表取締役 小鶴氏

 この3人の講師が、それぞれ時間を割いて口にしていたキーワードがあります。「IoT」と「VPP」です。
 IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノがインターネットに繋がる事」です。言い換えると、パソコンやプリンタだけではなく、あらゆる「モノ」をインターネットに繋ぐ技術の事です。例えば、外出中に家のエアコンをONにしたり、防犯カメラの録画をしたり。家庭用蓄電池がある場合は、充電をコントロールすることもできます。

 そして、VPPとは、バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)の略で、直接の意味としては「仮想発電所」となります。仮想発電所とはどういう意味でしょうか?太陽光発電と関係があるのでしょうか?
 「IoT」と密接な関係にある「VPP」。今回は、セミナーで話されたVPPの概要と最新動向をご紹介します。


    基調講演


 太陽光発電に立ちふさがる「出力抑制」という壁

 太陽光発電が直面する課題として、「出力抑制」があるということは、以前にも触れてきました。電気は需要と供給のバランスを常に一致させる「同時同量」が必要で、これまでは火力発電などの大規模電源の供給量(発電量)を調整、太陽光発電の出力抑制をすることで、何とか需要と供給を一致させてきました。

 今までは「供給」側を一方的に減らすことで対応しようとしてきたわけですが、これでは再エネ普及、エネルギーのベストミックスという根本的な理念と矛盾が出てしまいます。そこで、「需要」もコントロールし、インフラ全体を調整しようという動きが出てきました。
 「需要」と一言で言っても、電気は色々な人が利用します。家庭や会社のオフィスから、大規模な工場や施設など、大きさもシステムも様々です。本当にそれらをコントロールすることができるのでしょうか?

 それを可能にするアイテムが「IoT」です。今やあらゆる「モノ」がインターネットにつながる時代です。IoTを活用して点在する小規模の需要家をコントロールし、インフラ全体をまるで1つの発電所のように制御しようというのです。

 例えば、太陽光発電の普及で供給が増えた晴天の昼間に、需要をアップさせるために蓄電池への充電を開始させたり、エコキュートを稼働させたりするのです。そして、夕方は太陽光発電の出力が落ち、電気を一斉に点灯するため急激に需要が上がります。この時には必要ない電気を省電方向へシフトさせることにより調整します。IoTを通して需要と供給のバランスを調整しようという試みです。


    VPP概略
    ※バーチャルパワープラントのイメージ 出展:「エネルギー革新戦略」の検討状況/資源エネルギー庁



 VPPの構築事業に補助金の追い風

 バーチャル、というと近未来の話のようですが、政府はすでに動き始めています。経済産業省は、「エネルギー・環境制約を新たな投資につなげる」との総理指示により、「エネルギー革新戦略」を2016年4月18日に決定しました。

 この革新戦略には、新たなエネルギーシステムの構築に含まれる「再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げ」として、VPPの技術などの実証を進め、事業化を支援することが含まれています。それを受けて「平成28年度バーチャルパワープラント構築事業費補助金(バーチャルパワープラント構築実証事業)」が行われています。
 
 これは2016年(平成28年)から2020年(平成32年)までの5年間の事業を通じて、50MW以上のバーチャルパワープラントの制御技術の確立等を目指し、更なる再生可能エネルギー導入拡大を推進するものです。



 ソフトバンクも本気だった

 補助金を活用して、いちはやく動き始めた企業があります。ソフトバンクです。今回セミナー講師を務められたSPエナジー株式会社の平尾氏の肩書は「VPP事業推進室長」。これだけでも本気がうかがえますが、発表した内容は「実証実験の成果報告」でした。

 SBエナジーは、離島である「壱岐島」でのVPP実証実験を行い、次の成果を確認したと発表しました。

 ・蓄電システムやEVがVPPの制御に対応できることを確認
 ・スケジュール方式による太陽光発電の遠隔制御を確認
 ・太陽光発電の出力抑制を回避する可能性を確認

となっています。中でも3番目の「出力抑制を回避」の件には孫氏の執念のようなものを感じました。

 2013年、北海道電力が再エネ受入れの限界を発表した際、甚大な資金力で北海道の広大な土地でのメガソーラー事業展開を図っていたSBエナジーは、その後長きにわたって出力抑制と戦ってきました。つい先日も国内最大規模の蓄電池併設型メガソーラー発電所を北海道に建設することが発表されていましたが、蓄電池と並行してVPP事業でも一定の成果をあげているのです。

 VPP事業は実証実験が一部成功した段階で、通信コストの問題など(ソフトバンクが言いますか?)課題も残っています。しかし、IoTのさらなる普及とともに、VPPは現実化がすぐそこまで近づいて来ています。今回のセミナーでは、そのことを非常に強く感じました。


    地域エネルギー拠点化推進事業


 講演を聞き終えた感想

 今回のテーマである「VPP」と「IoT」は、ニュースなどでは盛んに取り上げられてはいるものの、まだ現実には目にしたことがない人の方が大勢だと思いますので、この記事をご覧になった方も近未来的な事のように感じたかもしれません。しかし、発電事業者にとっては、実際にはすぐ近くですでに始まっている事なのです。

 太陽光発電はこういった最新技術を活用しながら、課題を一つずつクリアしていき、安定電源に成長していくに違いありません。



 → 急速に広がる蓄電池を利用した太陽光発電における「活電」とは?
 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望
 → 太陽光発電との相性は?エネファーム&エコキュートの活用法



 

住宅用蓄電池市場に吹く逆風の正体とは?自家消費を推進するメーカーの動き

 2016年、住宅用蓄電池の市場に痛烈なダメージが降りかかりました。それは、補助金の停止です。

 この影響で、出荷台数はなんと15年に比べて25%も減ったのです。そこで、メーカーに迫られた喫緊の課題こそ「コストの削減」なのです。

こんにちわ、天意です。

 蓄電池市場は大荒れです。メーカー各社はより一層の努力が求められますが、具体的にどのような対策を講じているのか、各社の動きを追っていきたいと思います。



 右肩上がりの市場へ吹いた、突然の逆風

 原発の停止などの影響により、太陽光パネルや住宅用蓄電池などは、一気に需要が高まりました。15年までの市場は右肩上がりに、文字通りうなぎ上りに成長していき、住宅用蓄電池の総出荷数は3万台を突破し、4万台近くにまで迫る勢いでした。

しかし16年度は、そこに突然ブレーキがかかりました。それが補助金の停止です。

 補助金は蓄電池の単体購入に対して支給され、1台につき30万から60万円の補助が受けられましたが、それが16年でストップしたのです。

 もし現在使っている電気代が跳ね上がり、現在の2倍や3倍といった価格になるのなら、補助金がなくても割安感が生まれます。しかし、通常の電気代はあまり変わらず、蓄電システムの価格だけが跳ね上がれば、どれだけメリットを説明されても、ユーザーのお得感は確実に下がるということです。


    住宅パネル・風車イラスト


 新築への補助金はあっても、依然として厳しいまま

 16年になくなった補助金は、蓄電池単体に対してのものだけです。市場が完全に冷え切らずに済んでいる理由の一つが、ZEH向けの補助金です。

 ZEHとは「ゼロエネルギーハウス」の略で、自宅で消費するエネルギー量より創るエネルギー量の方が多くなることを言います。新築のいわゆる省エネ住宅向けの蓄電池は現在も補助金が出ています。

 他にも、新築向けの補助金は現在も出ているものが多く、蓄電池以外にも例えば太陽光発電の設備も補助金の対象です。新築ですので配線工事などもまとめてすることができ、費用が抑えられるという大きなメリットがあります。

しかし、言うまでもなく、新築需要と単体での蓄電池導入の需要とでは、大きな差があります。



 メーカーに迫られるコスト競争

 補助金の停止は、蓄電池メーカーのコスト競争の開始を意味します。在庫品として残っているものを大幅に値下げして販売している業者も少なくないですが、お客さんに対して一番分かりやすくアピールできる点は、何よりも「初期コスト」なのです。初期導入費用が安ければ、気軽に取り入れることができます。

初期コストを下げるためにもっとも簡単な方法が、蓄電池の「小型化」です。

シャープは16年の6月に業界最小クラス、4.2kWhの蓄電池を発売しました。従来のように、新築ではない既存の住宅で単体で蓄電池を導入する場合、住宅の内外どちらかに置くスペースを確保する必要がある、というのが大きなデメリットの一つでした。

 置き場所がないために購入を見送るという方が多かったのですが、安価な蓄電池の開発を迫られたメーカーには、このデメリットの解消が急務となりました。

 また、購入ではなくレンタルやリースといった導入も続々とスタートしています。
例えばNECやオリックスなどの合弁会社、ONEエネルギーや、日産リーフなどで用いられる車載用蓄電池を手掛けるフォーアールエナジーなどで、住宅用の蓄電池のリースサービスを行っています。

    EV充電



 まとめ

 蓄電用途は現在も広がり続けています。熊本地震などで、災害対策としての蓄電池が一層見直されたのはもちろん、最終的には日常的な自家消費が基本となり、電力会社に頼らないライフスタイルになる可能性も秘めています。

 しかし一方で、電気自動車の動力源となるリチウムイオン電池が発火したり、新車で購入してもわずか数年で急激に蓄電池が劣化して、満充電でも数十キロしか走らないといった欠点も目立ち始めています。経年で劣化した携帯電話のバッテリーから煙が出た、ということも実際に起こりました。

 さらに単体購入の補助金がなくなったのはまだ序の口と言えます。19年には住宅用太陽光発電の余剰売電期間が終了し、以降は電気を売ろうとしても二束三文にしかなりません。

これからの各メーカーは技術開発も、営業提案力も、よりハイレベルなものを求められていくことになります。



 → 太陽光発電の見積りサイトの紹介
 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望
 → 太陽光発電は自家消費型と売電型のどっちがお得か?



 

プロフィール

天意(てんい)

運営者:天意(てんい)
 太陽光発電初心者が投資に失敗しないための知識や業界の動向を現場目線でお伝えしていきます。
 メディアでは報道されない業界の現状や本当の姿を紹介していければと思います。
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