太陽光発電が長期安定稼働の為に守るべき!メンテナンスのガイドライン

 FIT法の改正で注目が集まるO&M(オペレーション&メンテナンス)ですが、ここでは2016年に制定された「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」を基に、太陽光発電設備が長期間安定して安全に稼働するためのポイントを紹介いたします。


    両面ガラスパネル
 保守点検ガイドラインの具体的な内容

 2012年から開始された固定価格買取制度によって、急速に設置が進んだ太陽光発電所ですが、2016年に改正FIT法が制定されるまでは、設計・施工・メンテナンスについてはきちんとしたルールがありませんでした。それにより、一部の発電所では事実杜撰な施工やメンテナンスが行われていました。

 この問題を解決するために同法では、「安定的な発電事業の継続に向け、発電事業者の事業計画の提出・順守を求める新認定制度」を実施する事が打ち出されました。
 新認定制度では、具体的に実施すべき内容を規定するガイドラインが制定されました。

【50kW以上の高圧発電所】
1.経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務
2.電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規定を定めて届け出る義務
3.電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務
 50kW未満の低圧発電所においては、届出等は不要ですが、経済産業省令で定める技術基準に適合させる義務が明示されました。


    レンチ
 メンテナンスに関する留意事項

【システム所有者】
1.日常点検にて高所設置など容易に点検できない太陽光パネルなどは、安全で目視可能な場所からの目視点検とし、必要な場合は、専門技術者に依頼して実施する
2.太陽光発電用機器の内部は高電圧となっている部分がありますので、外部からの目視、異音、異臭、振動などの点検に留める

【施工業者】
1.太陽光パネルの直並列数、パワコンとの適合性、太陽光パネルの方位と傾斜角、架台の強度、太陽光パネルの配線、塩害地域や多雪地域への設置など、太陽光発電設備の仕様に関わる内容は、設置前に問題がないことを確認する

 また、各部財別の点検作業項目としては、主に下記のようなものが挙げられます。

【太陽光パネル】
 ・き裂・はく離・破損・焦げ跡の有無
 ・コネクタの確認 - 目視で分かる損傷・ 防水及び気密性
 ・雑草の管理 – 伐採・除去・成長抑制

【架台】
 ・さび・腐食・たるみ・形状のくるい・欠けていたり破損したクリップ又はボルトがないか
 
【パワコン】
 ・収納盤に過度ひ割れ・磨耗・有害な貫通性侵食又は動物の活動の兆候がないか
 ・すべての取付け点において基礎にボルトなどで固定されるか、またボルトの緩み又は損傷がないか
 ・水分・げっ歯類・小動物・ほこりの侵入兆候がないか

【配線】
 ・擦れが無いこと、鋭利な粗い表面が無いか
 ・結束バンドの破断または損傷、導体への影響が無いか


    メンテナンス
 今後の展望

 太陽光発電のメンテナンスに関するガイドラインが制定されたことで、発電事業者に安全で適正な発電所運営が求められることになりました。これにより日本の太陽光発電が信頼性の高い電源となり、今後各エネルギーの中で存在感を高めていく下準備ができたと言えます。太陽光発電は将来最も安くて安全な電源になることができる重要なエネルギーです。このガイドラインの制定は太陽光発電の発展における大きなターニングポイントになるに違いありません。


 → 太陽光発電所の保守・メンテナンスの重要性
 → 改正FIT法施行で対応すべき項目と留意点


 

太陽光発電所の保守・メンテナンスの重要性

 太陽光発電所は再生可能エネルギーを利用した発電所としては最も故障が少ないと言われております。4,5年前まではメンテナンスフリーとまで言われていましたが、普及が進み年数が経つにつれて、故障の種類や傾向が徐々に明らかになり、近年ではやはり保守・メンテナンスは重要なんだという認識がかなり強まって参りました。


    スパナ
 事業計画策定ガイドラインのメンテナンス項目

 平成29年4月に施行された改正FIT法では、とうとう低圧発電所でも保守・メンテナンス体制の構築を義務付けました。それに伴い、国によって策定された「事業計画策定ガイドライン」の低圧発電所の保守・メンテナンスに関する項目は、要約すると下記の様な内容になります。

● 発電設備の事故や発電量の低下が発生した時に、速やかに対応ができる体制を構築する
● 発電量の低下や不慮の運転停止を未然に防ぐために、遠隔監視装置を利用して発電量の監視や分析を行う
● 落雷・洪水・暴風・地震などの自然災害が発生した際に、速やかに発電設備の状況を確認し、被害が拡散しないよう対処する

 → 売電量遠隔監視装置の必要性


    グリーン電球
 メンテナンスが義務化されたことの意義

 保守・メンテナンスの義務化は今までこれを行っていなかった事業者にとっては、経費が増えて利益が減ってしまうということになりますが、私はこの制度は太陽光発電業界にとってとても良い制度と言いましょうか、当たり前の制度だと思っております。この制度が無かったことが異常だったと思います。その理由と致しまして下記が挙げられます。

● 太陽光発電所は個人でも所有できる小規模なものもありますが、生活する上で非常に重要な電気を作って送り届けるインフラの一翼を担っている為、故障させてはならないから
● 地域密着型の産業ですので、近隣住民に被害や不安を与えてはならないから。
● 今後太陽光発電所の中古市場が盛り上がってくると思いますが、転売する際に買い手がその発電所の正確な能力や状態、故障の履歴などを知ることができ、無用のトラブルを防ぐことができるため。また、発電所が適正な価格で転売されるようになるため。

 この保守・メンテナンスが太陽光発電所に標準搭載されるようになれば、故障や事故は激減しますので、事業主は安定して事業を運営する事ができます。さらに近隣住民とのトラブルも激減しますので、業界全体としても新規稼働件数が順調に伸びて、より一層安定電源としての市民権を得ることにつながっていくと確信しています。


 → 太陽光発電が長期安定稼働の為に守るべきメンテナンスのガイドライン
 → 太陽光発電の改正FIT法における事業計画の提出方法



 

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天意(てんい)

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