住宅用蓄電池市場に吹く逆風の正体とは?自家消費を推進するメーカーの動き

 2016年、住宅用蓄電池の市場に痛烈なダメージが降りかかりました。それは、補助金の停止です。

 この影響で、出荷台数はなんと15年に比べて25%も減ったのです。そこで、メーカーに迫られた喫緊の課題こそ「コストの削減」なのです。

こんにちわ、天意です。

 蓄電池市場は大荒れです。メーカー各社はより一層の努力が求められますが、具体的にどのような対策を講じているのか、各社の動きを追っていきたいと思います。



 右肩上がりの市場へ吹いた、突然の逆風

 原発の停止などの影響により、太陽光パネルや住宅用蓄電池などは、一気に需要が高まりました。15年までの市場は右肩上がりに、文字通りうなぎ上りに成長していき、住宅用蓄電池の総出荷数は3万台を突破し、4万台近くにまで迫る勢いでした。

しかし16年度は、そこに突然ブレーキがかかりました。それが補助金の停止です。

 補助金は蓄電池の単体購入に対して支給され、1台につき30万から60万円の補助が受けられましたが、それが16年でストップしたのです。

 もし現在使っている電気代が跳ね上がり、現在の2倍や3倍といった価格になるのなら、補助金がなくても割安感が生まれます。しかし、通常の電気代はあまり変わらず、蓄電システムの価格だけが跳ね上がれば、どれだけメリットを説明されても、ユーザーのお得感は確実に下がるということです。


    住宅パネル・風車イラスト


 新築への補助金はあっても、依然として厳しいまま

 16年になくなった補助金は、蓄電池単体に対してのものだけです。市場が完全に冷え切らずに済んでいる理由の一つが、ZEH向けの補助金です。

 ZEHとは「ゼロエネルギーハウス」の略で、自宅で消費するエネルギー量より創るエネルギー量の方が多くなることを言います。新築のいわゆる省エネ住宅向けの蓄電池は現在も補助金が出ています。

 他にも、新築向けの補助金は現在も出ているものが多く、蓄電池以外にも例えば太陽光発電の設備も補助金の対象です。新築ですので配線工事などもまとめてすることができ、費用が抑えられるという大きなメリットがあります。

しかし、言うまでもなく、新築需要と単体での蓄電池導入の需要とでは、大きな差があります。



 メーカーに迫られるコスト競争

 補助金の停止は、蓄電池メーカーのコスト競争の開始を意味します。在庫品として残っているものを大幅に値下げして販売している業者も少なくないですが、お客さんに対して一番分かりやすくアピールできる点は、何よりも「初期コスト」なのです。初期導入費用が安ければ、気軽に取り入れることができます。

初期コストを下げるためにもっとも簡単な方法が、蓄電池の「小型化」です。

シャープは16年の6月に業界最小クラス、4.2kWhの蓄電池を発売しました。従来のように、新築ではない既存の住宅で単体で蓄電池を導入する場合、住宅の内外どちらかに置くスペースを確保する必要がある、というのが大きなデメリットの一つでした。

 置き場所がないために購入を見送るという方が多かったのですが、安価な蓄電池の開発を迫られたメーカーには、このデメリットの解消が急務となりました。

 また、購入ではなくレンタルやリースといった導入も続々とスタートしています。
例えばNECやオリックスなどの合弁会社、ONEエネルギーや、日産リーフなどで用いられる車載用蓄電池を手掛けるフォーアールエナジーなどで、住宅用の蓄電池のリースサービスを行っています。

    EV充電



 まとめ

 蓄電用途は現在も広がり続けています。熊本地震などで、災害対策としての蓄電池が一層見直されたのはもちろん、最終的には日常的な自家消費が基本となり、電力会社に頼らないライフスタイルになる可能性も秘めています。

 しかし一方で、電気自動車の動力源となるリチウムイオン電池が発火したり、新車で購入してもわずか数年で急激に蓄電池が劣化して、満充電でも数十キロしか走らないといった欠点も目立ち始めています。経年で劣化した携帯電話のバッテリーから煙が出た、ということも実際に起こりました。

 さらに単体購入の補助金がなくなったのはまだ序の口と言えます。19年には住宅用太陽光発電の余剰売電期間が終了し、以降は電気を売ろうとしても二束三文にしかなりません。

これからの各メーカーは技術開発も、営業提案力も、よりハイレベルなものを求められていくことになります。



 → 太陽光発電の見積りサイトの紹介
 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望
 → 太陽光発電は自家消費型と売電型のどっちがお得か?



 

蓄電池・エネファーム等に対する助成金(補助金)制度の概要(東京都)

【家庭向けの助成金】

● 対象者 : 対象機器の所有者

● 条件
 (1) 都内の住宅において新規に設置される機器(未使用品)であること
 (2) 対象機器の設置に係る領収書等の日付けが、平成28年4月1日から平成32年3月31日までのものであること
 (3) 対象機器を設置する住宅において、原則、機器設置前1年間及び設置後2年間の電力消費に係る情報等について、東京都が求めた場合に提供すること

● 一般申請期間平成28年6月27日から平成32年3月31日まで

● 対象機器・助成率
 ・ 蓄電池システム : 機器費の1/6。1戸当たりの上限額は次のいずれかの小さい額
  (ア) 1kWh当たり40,000円に、蓄電容量を乗じて得た額
  (イ) 240,000円
 ・ 燃料電池(エネファーム) : 機器費の1/5。1台当たり上限額は次のとおりです
  戸建住宅:100,000円、集合住宅に:150,000円

● 対象機器等の要件
 ・ 蓄電池システム
  1. 国が平成28年度以降実施する補助事業における補助対象機器として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されているもの
  2. 太陽光発電システムと同時導入すること
 ・ 燃料電池(エネファーム) : 国が平成28年度以降実施する補助事業における補助対象機器(停電時発電継続機能付き)として、一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)により登録されているもの


【申請方法】

申請書及び、添付書類の提出は郵送でお願いします。
・(注)原則として、申請書類の到着に関するお問い合わせに個別に回答することは出来かねます。郵送の際には、到着まで追跡可能な方法にてご提出ください。
・(注)窓口予約につきましては、お電話にてご予約ねがいます。また、ご予約なしでのご来所につきましては、ご対応出来かねる場合がございます。予めご了承ください。


【申請書提出先】

〒163-0810
東京都新宿区西新宿2-4-1新宿NSビル10階
東京都地球温暖化防止活動推進センター
スマートエネルギー助成金担当

● 受付時間
月曜日~金曜日(祝祭日・年末年始を除く)午前9時~午後5時まで

● お問い合わせ
スマートエネルギー助成金担当ヘルプデスク
電話:03-5990-5086

※ 本助成金は、助成対象機器等に係る領収書の日付(領収日)から6ヵ月以内の申請が必要です。
例えば、領収書の日付(領収日)が平成28年6月28日の場合、平成28年12月28日が申請期限(公社必着)となります。

● 助成金制度リーフレット
● 助成金申請手続きの流れ


 → 「東京都環境公社」の蓄電池、燃料電池(エネファーム)等に対する助成金
 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望



 

蓄電池の上手な活用法と将来の展望

 国内で最も成長が見込まれているのが、需要家向けの住宅用蓄電システムです。要するに自宅の屋根で発電した電気を自宅で使う為にためておく蓄電池です。特に固定価格買取期間が終了する2019年以降は、需要が増加するとみられます。

【各メーカーの動き】
 日本のメーカー各社も蓄電池市場拡大に乗り遅れまいと、新商品の開発に力を入れています。シャープは太陽光発電と併せて「クラウド蓄電池システム」や「蓄電池連携家電」等の提案に力を入れています。京セラは大容量12kWhクラスで業界最小のリチウムイオン蓄電池を搭載したハイブリッド型の住宅用蓄電システムを開発したと発表し、積水化学工業が2017年から発売している新住宅に採用されています。

 車載用のバッテリーについては、日産が再利用・再販売・再製品化・リサイクルを行う会社をすでに設立しています。リーフのバッテリーは車としての寿命を終えた後でも70~80%の容量を維持していますので、エネルギー貯蔵用として様々な用途への再利用が可能となります。
 京セラ12kW蓄電池

【蓄電池の有効活用法】
 蓄電池の機能としては大きく3つあります。「充電する」「放電する」「蓄える」の3つです。この機能をうまく利用すると例えば、産業用発電所の場合は出力制御等によって自身の発電設備が発電できなくなって稼働率の低下、収益性の悪化が想定される場合にも、蓄電システムに充電して別の出力制御が発生していない時間帯に放電(売電)するなどして、収益性の維持・向上を図ることができます。

 このように自由に充電と放電の間隔を変えられるところも蓄電システムの利点の一つです。また住宅用発電設備などで自家消費を行う場合でも、昼夜間の電気代の差を活用して、夜間の安い時間の電力を充電し、昼間の高い時間に消費する事で電気代を下げることも可能になります。
 昼蓄電・夜放電

【蓄電池の将来像】
 蓄電池と言うとまだ高いというイメージがありますが、2019年以降は急速に下がってくるとみられています。経済産業省は家庭用蓄電池の価格については、2015年度実績約22万円/kWhから2020年度は9万円/kWhという目標を掲げています。この価格低減が実現すれば、2020年以降は住宅用蓄電システムの市場は急速に拡大する事が予想されます。

 将来的に蓄電システムの価格がさらに下がると、太陽光発電設備と蓄電システムの組み合わせの発電コストが、電力会社から電気を買うコストよりも安くなってきます。そうなると、固定買取期間が終了した太陽光発電設備に蓄電システムを併設して、自家消費できなかった余剰電力を蓄電システムにためて夕方などに活用すると、電力会社から買う電気代を削減する事が可能になります。
電気代
 政府が2030年に22~24%の再生可能エネルギーを目指すエネルギーミックスを掲げる日本にとって、蓄電池は欠かせない重要技術の一つと位置づけられています。その活用は、売電・工場・ビル・住宅・災害時・家電・車載用と、どんどん幅を広げています。政府が進めるエネルギー政策との連動を考えると、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーと蓄電池との組み合わせは欠かせない物となっていくのは間違いないです。

 → 蓄電池を利用した太陽光発電における「活電」
 → 太陽光発電の見積りサイトの紹介
 

画期的なサービス開始!住宅用太陽光発電設備が無料で設置できるなんてホント?

【無料設置の仕組み】
 住宅用太陽光発電業界に画期的な新サービスが生まれました。その名は「フリーソーラープロジェクト」です。手掛けるのは愛媛県松山市の「株式会社デンカシンキ」です。その新しいスキームは”100%発電払い”というもので、その仕組みは下記の通りです。

●設備の投資家を募り、無料で設備を設置する
●デンカシンキグループの新電力「坊ちゃん電力」が余剰電力の買取に加え、自家消費分もオーナーから回収する
●上記で回収した料金が投資家へ支払われ、投資家の利益となります。
●上記の累積金額が設備費用に達した段階で、所有権を投資家から住宅オーナーに移す

【オーナーと投資家のメリット】
 発電した電力をすべて設備投資の回収に充てることで、電力会社の切り替えなしで平均8年5ヶ月で設備譲渡を可能にしています。しかも4年に1度の無料メンテナンスも付いておりますので、オーナーは安心してご利用いただくことができます。また、投資家にとってもメリットが大きく、実質利回りは12%以上をたたき出しております。これは固定買取価格制度の中でも価格の高い余剰買取を利用しているからです。平成29年度の余剰買取価格は30円/kWhで全量買取の21円/kWhを大きく上回っています。

【今後の展望】
 太陽光発電設備はオーナーにとって初期投資額大きくなることが導入のハードルを高くしています。しかし、今回紹介させていただいた「フリーソーラープロジェクト」のようなオーナーの負担を軽減するサービスがどんどん出てくると、太陽光発電はもっと加速度的に普及が進み、設備価格の低減につながっていくと思いますので、メーカーや販売店にはこれからは更に一層知恵を絞ってもらいたいと思います。

 → 太陽光発電投資は本当に儲かるのか
 → 蓄電池・エネファーム等に対する助成金(補助金)制度の概要(東京都)


 

プロフィール

天意(てんい)

運営者:天意(てんい)
 太陽光発電初心者が投資に失敗しないための知識や業界の動向を現場目線でお伝えしていきます。
 メディアでは報道されない業界の現状や本当の姿を紹介していければと思います。
 → 詳しいプロフィール
 

 
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