海外パネルメーカーが日本市場を重視する理由としたたかな戦略

 日本市場と海外メーカーの現状

 太陽光発電の日本市場で海外パネルメーカーが販売シェアを伸ばし続けています。2014年は海外勢のシェアはまだ31%でしたが、2016年には43.5%にまで伸ばしてきました。その反面、買取り価格の下落や適地の減少、系統制約などによって市場自体は縮小傾向にあります。実際、海外メーカーも出荷量としては横ばいで推移しています。

 今後日本市場は一層縮小するという見方が大勢を占めている中でも、今のところ日本市場からの撤退を計画しているメーカーはほとんどありません。それどころか、逆に今期から参入するメーカーも存在しているのです。その日本市場の魅力とは一体何なのでしょうか?


    魅力
 日本市場の3つの魅力

魅力1:市場規模
 日本の市場は縮小傾向とはいえ、中国、アメリカに次いで世界第3位です。しかも中国・台湾メーカーはアメリカへの輸出に対してはアンチダンピング措置を受けますので、パネルに高い関税が掛けられてしまいます。よってアメリカ市場の魅力はかなり減退していると言えます。
 日本の市場規模はというと、2017年2月時点で未稼働案件の総容量が50GWもあります。ここから認定失効予定の27GWを差し引いても23GW残ります。しかもこの容量は認定容量ですので、実際はパネルの過積載により、パネル容量はその1.3倍の30GWはあると思われます。海外から日本に出荷される容量が年間6.4GWですので、実に4.7年分ということになります。

魅力2:固定買取価格が高い
 29年度の出力10kW超の太陽光発電設備における買取価格は21円/kWhですが、中国は11~13円、ドイツに至っては10円を下回っています。日本の買取価格は制度開始時から比べれば半減しているものの、海外と比べれば依然として高い価格です。

魅力3:政府に対する信頼が高い
 太陽光発電ビジネスは政府の政策に大きく依拠します。海外では政権交代が起きた際に、前の政権の政策を否定して、20年間の売電が担保されないというケースもありますが、日本ではその心配がありません。こういった社会的に安定している国は先進国の中でも意外に少ないのです。


    戦略
 日本市場での今後の戦略

戦略1:価格
 海外でも特に中国メーカーは安い価格を売りにしているところが多いです。中国国内の旺盛な需要もあって、安いパネルを大量に生産する事ができます。これは他国のメーカーとの大きな差別化になります。

戦略2:品質
 戦略1とは逆に規模が小さいメーカーは、価格で劣る分品質で勝負しています。日本市場は1件当たりの規模は他国より小さいので、価格勝負のメリットは小さいと言えます。それに日本人は中国人と比べると品質を非常に重視しますので、特に住宅用では高くても品質の良いパネルを選ぶ傾向が強いです。

戦略3:パッケージ販売
 パネルのコストは発電所建設にかかる総費用の内20%程度ですので、パネルだけではなく開発費全体を下げることに商機を見出しているメーカーもあります。具体的にはパワコンや架台まで含めたパッケージ商品として販売します。パネルメーカーの強い購買力と豊富な資金力を活かして商材を安く仕入れ、それを更にパッケージ化する事によって安く販売できるというわけです。中にはそこから更に踏み込んで、オペレーションやメンテナンスまで手掛けるメーカーも現れています。いわゆる一気通貫サービスというものです。


    技術
 技術もすごい!海外メーカーの実力

・ジンコソーラー:60セル(※1)で320Wの高効率単結晶パネルの量産体制を整えました。
 ※1:「60セル」→セルとはパネルに並んでいるシリコン製の小さな四角い片。60セルとはそれがパネル1枚に60枚並んでいること。最も一般的なサイズのパネル。

・トリナソーラーバスバー(※2)を12本に増やしたパネルを製品化しました。
 ※2:「バスバー」→セルで発電した電気を送る金属線。バスバーが多いほど発電場所からバスバーまでの距離が短くなりますので、発電ロスが少なくなります。現在は5本が主流です。

・インリー両面(※3)で375W発電できるパネルを製品化しました。
 ※3:「両面発電」→両面で発電可能な特殊セルをガラスで挟み、裏面からの反射光を取り入れることで発電量を増やせるパネルです。積雪地や水上などの照り返しが起きやすい場所で威力を発揮します。


    扉
 新規参入組が狙うのは低圧と住宅

 日本は面積が小さいので、広い敷地の確保が難しくなってきており、その為高圧案件が減少傾向にあります。反面狭い土地でも設置できる低圧発電所や住宅用発電設備の件数はまだまだこれから伸びていくと予測されています。更に政府が2020年までに新築住宅の半数以上をZEH※(ゼロ・エネルギー・ハウス)にする方針を掲げていることも大きな要素です。
※ZEH:再生可能エネルギーを導入することにより、年間のエネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅です。

 ただし、住宅用市場はまだまだ日本メーカーが大きなシェアを維持しています。これは先程記載した通り、日本人は国産パネルの品質を重視しているからです。よって多くの海外メーカーは、単独で日本メーカーと真っ向勝負するのではなく、日本企業との協業を狙っています。協業の形は様々ですが、システム開発やメンテナンスが主流になっています。

 今後買取価格が下がり続けても住宅用太陽光発電設備や低圧太陽光発電所の導入は堅調に推移するはずです。更に今後は、蓄電池システムやHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を利用した自家消費型太陽光発電設備の導入も増えるはずですので、市場規模は更に拡大していくことになります。


 → 中国製の太陽光パネルは本当に安全か!?
 → 太陽光発電は自家消費型と売電型のどっちがお得か?


 

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