出力抑制を回避する救世主となるか!?IoTを活用したVPPの動向

 VPP(バーチャルパワープラント)が現実化の動きをみせています。

 こんちには、天意です。

 先日、福岡で予定があったため、北九州市で開催された「エコテクノ2017」に行ってきました。北九州市は、2011年末に「環境未来都市」に選定され、経済協力開発機構(OECD)の「グリーン成長モデル都市」にアジアで初めて選定されており、環境についてのコンベンションを多数誘致していることで知られています。主催者、協賛社には自治体の他、大学や地元企業が名を連ねています。



 基調講演のあらまし|用語のおさらい

 国際的な動向や注目の水素エネルギーなど、興味があるセミナーが多数ありましたが、今回はメインである基調講演に申し込みしました。主催は福岡県、エネルギー先端技術展連絡会議です。セミナーは3部に分かれています。

1部:IoTの現状と展望~新たな産業革命の幕開け~
   講師→株式会社みずほ銀行 産業調査部 参事役 大堀氏
2部:九州におけるバーチャルパワープラント実証事業の展開
   講師→SBエナジー株式会社 VPP事業推進室長 平尾氏
3部:エネルギーIoTを活用したO&M、PPA、VPP等への取組みについて
   講師→株式会社NTTスマイルエナジー 代表取締役 小鶴氏

 この3人の講師が、それぞれ時間を割いて口にしていたキーワードがあります。「IoT」と「VPP」です。
 IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノがインターネットに繋がる事」です。言い換えると、パソコンやプリンタだけではなく、あらゆる「モノ」をインターネットに繋ぐ技術の事です。例えば、外出中に家のエアコンをONにしたり、防犯カメラの録画をしたり。家庭用蓄電池がある場合は、充電をコントロールすることもできます。

 そして、VPPとは、バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)の略で、直接の意味としては「仮想発電所」となります。仮想発電所とはどういう意味でしょうか?太陽光発電と関係があるのでしょうか?
 「IoT」と密接な関係にある「VPP」。今回は、セミナーで話されたVPPの概要と最新動向をご紹介します。


    基調講演


 太陽光発電に立ちふさがる「出力抑制」という壁

 太陽光発電が直面する課題として、「出力抑制」があるということは、以前にも触れてきました。電気は需要と供給のバランスを常に一致させる「同時同量」が必要で、これまでは火力発電などの大規模電源の供給量(発電量)を調整、太陽光発電の出力抑制をすることで、何とか需要と供給を一致させてきました。

 今までは「供給」側を一方的に減らすことで対応しようとしてきたわけですが、これでは再エネ普及、エネルギーのベストミックスという根本的な理念と矛盾が出てしまいます。そこで、「需要」もコントロールし、インフラ全体を調整しようという動きが出てきました。
 「需要」と一言で言っても、電気は色々な人が利用します。家庭や会社のオフィスから、大規模な工場や施設など、大きさもシステムも様々です。本当にそれらをコントロールすることができるのでしょうか?

 それを可能にするアイテムが「IoT」です。今やあらゆる「モノ」がインターネットにつながる時代です。IoTを活用して点在する小規模の需要家をコントロールし、インフラ全体をまるで1つの発電所のように制御しようというのです。

 例えば、太陽光発電の普及で供給が増えた晴天の昼間に、需要をアップさせるために蓄電池への充電を開始させたり、エコキュートを稼働させたりするのです。そして、夕方は太陽光発電の出力が落ち、電気を一斉に点灯するため急激に需要が上がります。この時には必要ない電気を省電方向へシフトさせることにより調整します。IoTを通して需要と供給のバランスを調整しようという試みです。


    VPP概略
    ※バーチャルパワープラントのイメージ 出展:「エネルギー革新戦略」の検討状況/資源エネルギー庁



 VPPの構築事業に補助金の追い風

 バーチャル、というと近未来の話のようですが、政府はすでに動き始めています。経済産業省は、「エネルギー・環境制約を新たな投資につなげる」との総理指示により、「エネルギー革新戦略」を2016年4月18日に決定しました。

 この革新戦略には、新たなエネルギーシステムの構築に含まれる「再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げ」として、VPPの技術などの実証を進め、事業化を支援することが含まれています。それを受けて「平成28年度バーチャルパワープラント構築事業費補助金(バーチャルパワープラント構築実証事業)」が行われています。
 
 これは2016年(平成28年)から2020年(平成32年)までの5年間の事業を通じて、50MW以上のバーチャルパワープラントの制御技術の確立等を目指し、更なる再生可能エネルギー導入拡大を推進するものです。



 ソフトバンクも本気だった

 補助金を活用して、いちはやく動き始めた企業があります。ソフトバンクです。今回セミナー講師を務められたSPエナジー株式会社の平尾氏の肩書は「VPP事業推進室長」。これだけでも本気がうかがえますが、発表した内容は「実証実験の成果報告」でした。

 SBエナジーは、離島である「壱岐島」でのVPP実証実験を行い、次の成果を確認したと発表しました。

 ・蓄電システムやEVがVPPの制御に対応できることを確認
 ・スケジュール方式による太陽光発電の遠隔制御を確認
 ・太陽光発電の出力抑制を回避する可能性を確認

となっています。中でも3番目の「出力抑制を回避」の件には孫氏の執念のようなものを感じました。

 2013年、北海道電力が再エネ受入れの限界を発表した際、甚大な資金力で北海道の広大な土地でのメガソーラー事業展開を図っていたSBエナジーは、その後長きにわたって出力抑制と戦ってきました。つい先日も国内最大規模の蓄電池併設型メガソーラー発電所を北海道に建設することが発表されていましたが、蓄電池と並行してVPP事業でも一定の成果をあげているのです。

 VPP事業は実証実験が一部成功した段階で、通信コストの問題など(ソフトバンクが言いますか?)課題も残っています。しかし、IoTのさらなる普及とともに、VPPは現実化がすぐそこまで近づいて来ています。今回のセミナーでは、そのことを非常に強く感じました。


    地域エネルギー拠点化推進事業


 講演を聞き終えた感想

 今回のテーマである「VPP」と「IoT」は、ニュースなどでは盛んに取り上げられてはいるものの、まだ現実には目にしたことがない人の方が大勢だと思いますので、この記事をご覧になった方も近未来的な事のように感じたかもしれません。しかし、発電事業者にとっては、実際にはすぐ近くですでに始まっている事なのです。

 太陽光発電はこういった最新技術を活用しながら、課題を一つずつクリアしていき、安定電源に成長していくに違いありません。



 → 急速に広がる蓄電池を利用した太陽光発電における「活電」とは?
 → 蓄電池の上手な活用法と将来の展望
 → 太陽光発電との相性は?エネファーム&エコキュートの活用法



 

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